[ 囚 わ れ る ]

何よりも怖ろしいのは
自分と世界をつなぐ道がなくなってしまうことだと思っていた

たとえば
君の、花のように甘い香りで胸を満たせなくなることだとか
君の、眩いほどの笑顔を見られなくなることだとか
君の、人より少しだけ高い体温を感じられなくなることだとか
君の、眠りの淵に囁く小さな「おやすみ」を聞けなくなることだとか

君に、零れ落ちるほどの想いを伝えられなくなること、だとか。

けれど、
何よりも怖ろしい――怖れているのは、

君というこの世界を 失ってしまうことなのだと

ああぼくは 今、気付いてしまった


( 2008.01.16 Wednesd )